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めもめも

このブログに記載の内容は個人の見解であり、必ずしも所属組織の立場、戦略、意見を代表するものではありません。

「通訳入門」の受講記録を書いてみる(その2)

とりあえず、今回は、やったことと気づいたポイントをまとめておきます。

英日の逐次通訳

食品業界の展示会イベントが始まる前日に、主催者が出展者に説明を行う場面を逐次通訳。

いやー。Domain Knowledgeは本当に重要。「自然な日本語で表現する」という意味において。英語で言っている意味はすべて分かっていても、その上で、「同じ場面で日本人が話したとしたら、どういう用語、言い回しをするか」を理解して、日本語で「再表現」することが求められます。「翻訳」ではなくて、「再表現」。意味が伝わるのは最底辺のラインで、仮に話者が日本人だとしたら、その場面でどんな風にしゃべるかまでを理解することが必要です。いやこれは難しい。

マインドセットとしては、「XXXXXということを伝えてほしいのでみんなに説明して」とお願いされて、代わりに自分が説明しているぐらいの気持ちで表現しないとダメ。

得意のITの領域なら、日本人のIT関係者がどういう喋り方をするかはよく知っているので、英語で聞いたことを「自分の言葉で言い直す」というだけでなんとかなります。しかし、ちょっと業界が違うと、その世界でどういう言い回しが標準的かは途端にわからなくなります。この練習問題は、「食品業界」に固有の話をしているわけではなくて、最初から日本語で聞けば、まったく難しい内容ではありません。それでも、英語を聞いて、「原理的に対応可能な膨大な日本語の表現」から、適切なものを選び出すのは、相当な「日本語」感覚が必要。日常の中で、「自分が興味のない業界」の人がどういう言い回しをしているかを研究しないとダメですね。

Retentionから逐次通訳への移行(英日)

「Retention」というのは、一段落程度のスピーチを聞いて、同じ内容を同じ言語で言い直す、という訓練です。文章を暗記することは不可能なので、内容を理解して、自分が理解した事を自然な言葉で「再表現」します。言ってみれば、「日日」、もしくは、「英英」の通訳をするようなものです。こういう練習はやったことが無かったので、よかったです。「英英」でこの練習をすれば、英語力(英語での表現力)の向上に役立つ気がします。明日からこっそり毎日やります。

ちなみに、この時の練習ネタは、IT業界では、みんな大好きな(でもだれも実践していない)「PDCA」サイクル。Domain Knowledgeがある分野だと、本当に有利な事を実感しました。「英英」のRetentionの後で、英日の逐次通訳をやりましたが、それほど苦労はしませんでした。

Retentionから逐次通訳への移行(日英)

同じことを「日日」→「日英」でやるんですが、練習用のマテリアルがちょっとトリッキー。

山手線は「のぼり」「くだり」ではなくて「内回り」「外回り」という言い方をする理由を説明する文章なんですが、英語だと「のぼり」「くだり」も「内回り」「外回り」もどちらも「Inbound」「Outbound」になります。さぁ。。。。違いを説明したい用語が英語にすると、そもそも同じ単語になってしまう状況。これ、どうやって英語で表現します?

もちろん、自分が説明するのであれば、事前に「日本語だと違う言い方をしてさぁ。」という話をしてから本題に入るわけですが、「通訳」の場面で、そんな余計な話を勝手に付け加えることはできません。

で、最初、私の案は、「内回り」「外回り」には違う訳語(「Inner track」「Outer track」とか)をあてるというやつだったんですが、実際に山手線に乗ると車内の掲示には、「Inbound」「Outbound」と書かれていて、聞き手の外人はそれを知っているとしたら、話が咬み合わなくなります。

最終的にそこで出した結論は、直前に「山手線は環状運転する」という表現があったので、

・山手線は環状運転しているので、一般の路線の「Inbound」「Outbound」という概念は当てはめられない。
・それでも、山手線では、「Inbound」と「Outbound」という言い方で方向を区別している。

というニュアンスでの通訳でした。わかりにくいので、原文の該当部分を引用しておきますね。

1. 山手線と言えば、東京都内を環状運転する鉄道で、いわば東京の大動脈です。
Ymanote-line is a main artery of Tokyo, a railway going round Tokyo in a circle.

2. 鉄道路線には、通常、「のぼり」と「くだり」がありますが、山手線にはその区別はありません。
A railway generally have two directions such as 'inbound' and 'outbound', but Yamanote-line doesn't have such a distinction as it goes in a circle.

3. その代わり、山手線には内回りと外回りがあるのは皆さんもご存知のことだと思います。
However, we still describe two tracks of Yamanote-line as 'inbound' and 'outbound'.

さて・・・。これが本当にベストな通訳でしょうか。私にも答えは分かりません。