これを書こうと思った背景
個人的に英語は、(大人になってから)すんげぇがんばって勉強してきたので、同じように英語の勉強で苦労している方に、何か参考になることが伝えられたら、という思いはいつもあるのですが、今まで、いまいち、具体的に何かを語る気になりませんでした。。。。なぜなら、
・「英語の勉強法」みたいな、記事やらブログってすでにいっぱいあって、いまさら付け足すことはない気もする。
・「英語の勉強法」とかを書いても、勉強法についての話題で盛り上がるだけで、だれも実際にその方法で勉強しない気もする。
・本屋に行けば、英語の教科書は、山ほど売ってるし、今時、ネットで生の英語に触れることはだれでも簡単にできる。勉強法とか読んでるひまがあったら、とっとと勉強した方がよっぽどいい気もする。
・「そういうおまえはなんぼのもんやねん。そんなに英語できるんかい。おらおら。」という心の中の悪魔のささやきが聞こえる。
すいません。いろいろ屈折しているんです。
・・・なんですが、最近ちょっと、大人になってから英語(英会話)を勉強する際のプロセス的なものが分かってきて、知的好奇心から、そのあたりを整理してみたくなって、これを書き始めたという次第です。
スムーズに英会話をするために必要なこと
(1) 英語を聞いて、英語で理解する。
↓
(2) 英語で考えて、英語でまとめる。
↓
(3) 英語で表現する。
これを一つの脳みその中で、マルチスレッドで同時並行処理する必要があります。はい。かなり難しいです。途中で日本語で考えた瞬間に負けです。これを実現する人の脳みそって、どんな構造なんでしょうか?
脳みその構造
だいたいこんな感じの仕組みだと思ってます。科学的/医学的根拠はありません。経験的な感覚です。
それぞれの回路を鍛えると同時に、回路のあいだの「繋がり」を鍛える必要があると思ってます。
日本で生まれ育った大人は、①の繋がりは日常生活で自然に鍛えられて、そんな繋がりがあることすら意識しなくなります。日本語で会話するときは、当然ながら、先ほどの(1)〜(3)のプロセスを無意識にこなしているわけですが、①の繋がりがしっかりと鍛えられているからでしょう。
なので、英語で同じことをやるには、②の繋がりを意識的に鍛える必要があると思うんですね。
日本の高校とかの英語教育だと、「英語の表現方法」は当然ならうのですが、理解するのも表現するのも、一度、日本語を介してやるので、こんな感じの訓練になっちゃってるのかなと。③の繋がりが中心で、②の繋がりがなかなか鍛えられない。
ちなみに、子供の頃から、英語と日本語がまざった環境で生活すると、③の繋がりがなくて、①②が独立に鍛えられるので、英語も日本語も得意なのに、英語で考えていることを日本語で説明できなかったりとか、そういうことも起きるそうです。
大人になってからの勉強法
というわけで、伝統的な日本の英語教育を受けてきた大人が最後に挑戦するべきところは、②の繋がりをどれだけ意図的に訓練できるかだと思うのですね。
(当然ながら、これは、英文法とか簡単な翻訳とか、③の経路でいいから、「英語で表現する回路」そのものはちゃんと用意できている、中級者向けの話です。こっから先はその前提でお願いします。)
自分自身の経験を振り返ると、「英語漬けの生活をすれば、英語なんて自然にできるようになる。アメリカ人の子供を見ろ」的な発想をそのまま信じて、日本で生活しながら、とにかく英語でもできることは、全部英語でやってみるという事をやってきました。
(1) ネットは英語のサイトを見る。日本の出来事も英語のニュースサイトでチェックする。
(2) 趣味の本も、仕事の本も、本はすべて英語で読む。日本語版のある本でも、原書で読む。
(3) 辞書は、英英辞典を使う。
(4) 通勤電車などの空き時間があれば、MP3プレーヤーで英語のストリーミングを聞く。
(5) 何かぼーっと考え事をするときは、英語で考えるようにする。
(6) 英会話学校は、できるだけ少人数のクラスにして、すきあらば何かしゃべる。本音とちがっていても、嘘でもいいから、整合性のあるストーリーを組み立てて英語で表現する練習をする。
全部必要なことではありますが、振り返ると、特に重要なのは、(5)の部分でした。人間、普段から考えてもいないことをいきなりしゃべらないといけない場面は、それほど多くないので、普段から英語で考えて、自分の主張を英語の表現でまとめておくと、最初に出てきた「(2) 英語で考えて、英語でまとめる。」のステップを簡略化できるので有効です。これお勧め。
いやそうは言っても!
それが簡単にできたら、苦労せんがな。。。。。。
はい。そうなんですよね・・・・。
日本人が「英語の思考力」を鍛えるためのうまい方法
と思っていた時に、最近、ある方から、
・日本語で考えたことを箇条書きにまとめて、それを英語に直していく。
という練習法を紹介していただきました。これをいろんな人に話すと「それはいい!」という声が意外に多くて驚いたのですが、先ほどの図に直すと、こんな感じなのかなぁと。
つまり、伝統的な英語教育と同じように、日本語を起点にするのですが、日本語で考えたことをそのまま英語に翻訳するのではなく、まずは、言いたいことを箇条書きにしてシンプルにまとめます。これは、ある意味、「使用する言語によらない主張の本質」を抽出しているわけで、これを英語に直していくことで、「自分の考えを直接に英語で表現する」という練習の出発点になるのだと思います。
実際、英会話学校などで、議論が込み入ってくると「yes/noで答えられる簡単な質問」に対して、まったく言葉がでなくなる中級者の方をよく見かけます。これは、よく聞いてみると「言いたいことが頭にいっぱいあって、それをまとめて表現する方法がみつからなくて、最初の一言もでなくなる」のだそうです。なので、こういう場合は、(実際の会話ではそんなことやってられませんが、レッスン中の会話だとすれば)、「日本語で構わないので、言いたいことを箇条書きにまとめて、それを順番に英語でしゃべる」という事をやれば、「自分の考えを英語で表現するとどうなるのか? いま思っていることを英語で考えるとはどういうことなのか?」が実感できて、とてもいい練習になるんじゃないのかなぁ、と思ってます。
まとめ
・複雑な日本語を複雑なまま英語にする練習は、学校で十分やった人はもうしなくていいです。
・自分の考えを箇条書きでシンプルにまとめて、それを英語にする練習をしましょう。
・その中で、「自分の考えを英語で表現するとどうなるのか? いま思っていることを英語で考えるとはどういうことなのか?」を実感していきましょう。
・そうやって、自分の考えについて「英語でまとめるとどうなるか」を蓄積することで、いつか自然に「最初から英語で考えられる」ようになる日が来る・・・かも。
「これはいい!」と思った方は、ぜひ実践して、フィードバックしてください。
その他にも、②の繋がりを効果的(効率的)に鍛えるうまい方法があればいいですね。