めもめも

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「TensorFlowで学ぶディープラーニング入門 ~畳み込みニューラルネットワーク徹底解説~」が発売されます

TensorFlowで学ぶディープラーニング入門 ~畳み込みニューラルネットワーク徹底解説~

TensorFlowで学ぶディープラーニング入門 ~畳み込みニューラルネットワーク徹底解説~

表題の書籍がマイナビ出版より発売されることになりました。執筆にご協力いただいた方々には、あらためてお礼を申し上げます。販売開始に先立って、「はじめに」を掲載させていただきますので、先行予約される方の参考にしていただければと思います。

はじめに

 ディープラーニングの世界へようこそ! 本書は、機械学習やデータ分析を専門とはしない、一般の方を対象とした書籍です。―― と言っても、ディープラーニングの歴史や人工知能の将来展望を語る啓蒙書ではありません。ディープラーニングの代表とも言える「畳み込みニューラルネットワーク」を例として、その仕組みを根本から理解すること、そして、TensorFlowを用いて実際に動作するコードを作成することが本書の目標です。

 ディープラーニングが世間の話題になりはじめたのは、米グーグル社が「ニューラルネットワークが猫を認識した」と発表したあたりかも知れません。その後、ビデオゲームの操作をDQN(Deep Q-Network)と呼ばれるアルゴリズムが学習したり、さらには、ニューラルネットワークを用いた機械学習システムが囲碁の世界チャンピオンを破るなど、驚くような結果が生み出されてきました。そして、このようなディープラーニングの解説記事で必ず登場するのが、多数のニューロンが何層にも結合された「多層ニューラルネットワーク」の模式図です。このニューラルネットワークの中でいったいなにが起きているのか、ディープラーニングのアルゴリズムはどのような仕組みで学習をしているのか、「何とかしてこれを理解したい!」 ―― そんな気持ちを持ったあなたこそが、本書が対象とする読者です。

 実の所、ディープラーニングの根底にあるのは、古くからある機械学習の仕組みそのものです。簡単な行列計算と微分の基礎がわかっていれば、その仕組みを理解することはそれほど難しくはありません。本書では、手書き文字の認識処理を行う畳み込みニューラルネットワークについて、これを構成する1つひとつのパーツの役割を丁寧に解説していきます。さらに、ディープラーニングの学習処理ライブラリであるTensorFlowを利用して、実際に動作するコードを用いながらそれぞれのパーツの動作原理を確認します。レゴブロックを組み立てるかのように、ネットワークを構成するパーツを増やしていくことで、認識精度が向上する様子が観察できることでしょう。

 ちなみに、TensorFlowの公式Webサイトでは、チュートリアルとしてさまざまなサンプルコードが公開されています。これらのコードを実行してみたものの、コードの中身がよくわからず、自分なりの応用をしようにもどこから手をつけていいのかわからない ―― そんな声を耳にすることもあります。本書を通して、ディープラーニングの根本原理、そして、TensorFlowのコードの書き方を学習すれば、次のステップが見えてくるはずです。ディープラーニングの奥深さ、そして、その面白さを味わうことは、決して専門家だけの特権ではありません。本書によって、知的探究心にあふれる皆さんが、ディープラーニングの世界へと足を踏み入れるきっかけを提供できたとすれば、筆者にとってこの上ない喜びです。